古生物・恐竜 妄想雑記

恐竜好きないち素人による妄想語り置き場

『新・恐竜骨格図集』レビュー

 ブログが半月にわたって更新されていなかったのは、リアルで資格試験勉強中だったり、ゲームのイベントが絶賛開催中でブログを更新する暇がなかったというのが真相である。決してネタ切れを起こしたということはないので安心していただきたい(ティミムスとかタワとか、やりたいネタはいくらでもあるのだ)。もともと月に1回ぐらいの更新を予定していたため、ある意味においては当初予定通りであり、今までができすぎという塩梅だろう。

 そんなわけで半月ぶりの更新となったわけだが、今から2か月前にこんなことを書いていた。そして先日、無事に『新・恐竜骨格図集』が発売された。近くの書店で予約していたものを当日確保し、そのまま読破した現在、当書籍の感想をグダグダと語っていこうと思う。

 

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 『骨格図集』と銘打っている以上、そこに掲載されているのは骨格(正確には産出した化石のシルエット)のみである。にもかかわらず、あるいはだからこそ、恐竜の姿がよく見える。恐竜の研究とはつまり体骨格の研究である。体骨格の研究量と比べれば、奇跡的な条件がそろわなければ発見されない羽毛や皮膚などの軟組織は研究量自体少ないのだ。そんな体骨格の研究の積み重ね約200年分が、当書籍を形作っている。

 掲載内容は、主要分類群のほぼすべてと、各グループの模式属&有名な恐竜で構成されており、その数は179種である。一般的な図鑑と比べれば少ないが、A4変版に1ページに約一種のペースで紹介されているため、ボリューム不足は全く感じない。各恐竜の説明文は最小限であり、じっくりと骨格図に目を通すことができる。近縁種が同じページに掲載されていることがほとんどであるため、一枚のページで近縁種の恐竜の骨格図を見比べることも可能である。そんなこんなでじっくり読み進めると、間違いなく1時間以上は溶けていることだろう。

 個人的にうれしかったこととして、まともな日本語資料がなかった恐竜が多く掲載されていることである。テスケロサウルスの頭骨が細長く書かれている図鑑がなかなかお目にかかることはできない。ハルシュカラプトルやユタラプトルは恐竜図鑑の常連と化しているが、実際に肉が付く前、骨格の状態を見たことがある方は、一般人でどれほどいるだろうか?かねてよりユタラプトルはドロマエオサウルス類にしてはごついといわれていたが、本書にてあたらめて示された形である。大型ドロマエオサウルス類がそろい踏みしたのは筆者が覚えている限り初めてであり、大型化した連中をじっくり見比べるというぜいたくを味わうことができた。

 

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 本書のカバーには、こんな言葉が書かれている。

復元画は、言葉を超えた表現であり、伝える力は極めて大きい

 本署を一周してからこの言葉をかみしめると、確かにその通りだと全力でうなづくことができる。そこにいるのは物言わぬはずのイラストだが、読者が耳をすませることによって、骨格図は各恐竜の特徴や近縁種との共通要素などを雄弁に語ってくれるのだ。帯に書かれた言葉、すなわち―――

世界の恐竜ファンが待ちわびた一冊

―――はオーバーな表現ではない。まさしく筆者のような恐竜ファンが待ち望んだ一冊だ。恐竜に入り始めた人であっても楽しむことができる。そして長らく恐竜と付き合い続けた中級者以上には、ページをめくるたびに新しい楽しみを見出せる。恐竜ファンには強くお勧めしたい一冊である。

 そして本書の「はじめに」にあるとおり、本書を一通り読み終わったら、折を見て博物館へ行ってみよう。きっと今までは見えなかった様々なものが見えるようになるはずだ。本書の最後に付け加えられている参考文献リストとにらめっこしながら、文献の海に泳いでみるのも一考だろう。

 『新・恐竜骨格図集』はこれ一冊だけで資料になり、次の資料への入り口になる。博物館でのガイド役になってくれる時もあるだろう。定価3,800円&消費税以上の価値を持つ本だ。恐竜ファンもそうでない人にも、手に取っていただきたいものである。

 

というわけで筆者なりの『新・恐竜骨格図集』の感想でした。素敵な一冊を製作していただいた著者のG.Masukawa様、監修の小林教授と編集協力の土田健様にはこの場にて感謝を申し上げます。タニウスみたいな地味な恐竜ばっかり掲載された第二弾もお願いします。