古生物・恐竜 妄想雑記

恐竜好きないち素人による妄想語り置き場

終焉期の巨人

そういえば当ブログで一度も竜脚類を書いていなかったことに気が付き、ちまちま当ブログ初となる竜脚類の記事を書いていたわけである。そんなさなかにティタノサウルス科の新属新種が(大変ありがたいことに)オープンアクセスにて報告されたわけだが、これ…

やがては覇者へと上り詰め

中生代を指して「恐竜時代」と言い換えるような発言をよく(最近はたまに、だが)聞くが、個人的に言ってしまえば中生代≠恐竜時代という印象だ。(シレサウルス科うんぬんを考慮に入れなければ)恐竜が出現したのは三畳紀後期であり、それからジュラ紀が始ま…

リアルネッシー、ララミディアに泳ぐ【ブログ開設2周年記念記事】

本日(正確には明日ですが投稿可能時間の都合上本日)を持ちまして『古生物・恐竜 妄想雑記』は2周年を迎えました。日ごろ足を運んでいただく読者の皆様方にはこの場をお借りして感謝申し上げます。そんなわけでいつものノリで2周年記事でございます。 ―――…

悪霊の下に生きた獣

なんだかんだで3月の下旬である。前回投稿から1か月が過ぎないうちに投稿したかったのだが、ブログ記事を抱え込んだまま季節の変わり目に対応できず胃腸炎を発症したことによりここまで遅れることになってしまった。この恨みはどこかで返すよりほかにない…

メガロサウルス科よ、さようなら……?

気が付けば2月の半ばである。最近また仕込みを始めたため、ブログの更新が滞りがちになってしまうが、ご了承願いたい。 昨年の5月にスピノサウルス科の伝統的一員であるイリタトルの再記載が行われた。論文の主題はイリタトルの頭骨要素の再記載と機能形態…

マクレーの暴君

当ブログのテーマの一つとして「図鑑にも乗らず、日本語Wikipediaにもないマイナー恐竜をあの手この手で紹介する」というものがあるのだが、それと同時に「メジャー恐竜は取り上げない」というルールを裏でこっそり決めていたりもした。知名度の高いメジャー…

西にすむ鳥もどき

あけましておめでとうございます。本年も『古生物・恐竜 妄想雑記』をよろしくお願いいたします。そんなわけで新年一発目も(やっぱり)獣脚類スタートでございます。 ―――――― ジュラ紀の地層(あるいはジュラ系)と聞いて、あなたが真っ先に思い浮かべるのは…

2023年を振り返る

こんな感じのタイトルが2回目ということで、気が付けば2023年も終焉目前である。情勢は相変わらず、どころではない気もするが、とりあえず古生物学という正直に言ってしまえば大局に何ら影響を与えない学問が許される世界であったことに胸をなでおろすべき…

滄竜、目覚める

「ついに来たか」と「やっぱり来たか」が同居した瞬間であった。2019年に国立科学博物館で突如として一般公開された和歌山県の鳥屋城層から産出したモササウルス類がついに新属新種として記載されたのである(記載論文の出版が12月12日、和歌山県立自然博物…

大型獣脚類のお子様ランチ

12月中に投稿を予定していた記事が2本(メガロサウルス上科についての話と新獣脚類についての話)あったのだが、どう見ても高カロリー記事であることが明らかになっているわけだ。とはいえノルマたるひと月投稿のペースはさずがに落とすわけにもいかずと考…

眠りのヤキュルス

5年間苦楽を共にし続けたPCが故障し、悲しみに満ち溢れた筆者であるが、しかし一個人の悲しみなど待ってくれないのが古生物界隈である。企画ネタを1つ、恐竜紹介ネタを2つ抱えている真っ最中に、以前紹介したナトヴェナトルと同じバルンゴヨット層からアル…

昔の恐竜図鑑を読んでみる~1~

なんとなくPCで見る当ブログが見づらいと感じつつあるこの頃である。ブログ開設時に何となくで選んだブログデザインではあるが、とりあえず今年中に変更してみようと検討中である。ご了承願いたい。 そんな予告はさておいて、ここ最近骨格図付きの高カロリー…

一本爪の系譜

当ブログを開設して約1年半ほどが経過したわけだが、これまで紹介してきた恐竜の多くは各分類群における原始的な種類(あるいは祖先的な特徴を残した種類)である。たぶんにこれは筆者の趣味が可視化された結果と言えよう。実際のところ、原始的な種類という…

古代玉渓の盾

ゴンコケンに続いて6月記載組のベクティペルタについての解説妄想を展開しようと思ったのだが、どうもオープンアクセスの期間が切れたようである。悲しみを覚えた筆者であるが幸いなことにネタはまだいくらでも存在するのだ。そんなわけで今回は2022年3月に…

砂漠に泳ぐハンター

水棲恐竜の代名詞と言えば、今やスピノサウルスだろう。待ち望まれた追加標本の発見後、2014年に発表された四足歩行スピノ、通称「セレノスピノ」は各所で議論を巻き起こした。そこから8年が過ぎた現在もなお、スピノサウルスの姿は変わり続け、今なお議論は…

その歩みは南の果てへと

2023年は新属記載のニュースがどうにも乏しいと考えていた節はある。そんなわけで当ブログではアスファルトヴェナトルやチャンミアニアなど、記載済みだが知名度は低い恐竜たちを紹介してきたわけだが、まさかの6月に3属も記載されてしまったわけである。ど…

暴君に似た者、何を語る

長らく本ブログの更新が途絶えているうちに、古生物界隈はいろいろあったわけだが、日本の恐竜の聖地とでも呼ぶべき福井県から待望のニュースが飛び込んできた。2020年の特別展『福井の恐竜新時代』で初公開され、その後常設展示に回った*1「北谷層産オルニ…

『福井市自然史博物館』レポート

当ブログでやりたいこと、書きたいものはいろいろと企画しているのだが、諸事情に伴い没にした企画や記事は現時点ですでにいくつか存在する。今回のネタも本来であれば昨年の5月から6月には投稿するつもりだったのだが、連休前後にあんな奴やこんな奴が記載…

『Dino Sciense~恐竜科学博~』レポート

2021年、横浜にて突如として開催された『Dino Sciense~恐竜科学博~』が完全予約制にもかかわらず40万人を動員したことは記憶に強烈に刻まれているだろう。こういった特別展は基本的に一期一会の存在であり、ましてや門外不出の標本が主役級展示となって…

それは闘争の結末か?

闘争化石と聞いて、本ブログの読者の皆様はどのような化石を思い浮かべるだろうか?一般的にはプロトケラトプスとヴェロキラプトルの闘争化石(あるいは格闘化石)であろうか。ジャドフタ層から産出したこの化石はその保存状態から様々な議論を呼び起こし、…

北山からネメグトへ駆け

気が付いたら一か月以上投稿が開いてしまったわけである。そんなこんなで福井県立恐竜博物館はリニューアルオープンを迎え、恐竜博2023は大阪会場が始まっている。恐竜科学博も開催が間近に迫っており、今年の夏も恐竜で盛り上がる夏になりそうである。 恐竜…

義県の掘削者

ここ最近ろくに更新をしていなかったが、実のところ5月いっぱいの間にとある仕込みをしていたことが要因だったりする。実をいうと6月中も更新できそうもないのだが、とりあえずご了承願いたい。もともと月1ペースで更新するつもりだったブログである。 中…

アスファルト盆地に生まれた始祖

前回カニャドン・アスファルト層から産出したアスファルトヴェナトルについてグダグダ語っていたわけだが、同層には他にも面白そうな恐竜がいるわけである。前回のブログにて、筆者はこのように書いていた。 アスファルトヴェナトルと同じカニャドン・アスフ…

混迷のテタヌラ、アスファルトの沼

アクロカントサウルスやネオヴェナトル、シンラプトルなどが「アロサウルスの仲間(≒アロサウルス科)」として紹介されていた時代はとうに過ぎ去り、今はそれぞれカルカロドントサウルス科、ネオヴェナトル科、メトリアカントサウルス科(またはシンラプトル…

『恐竜博2023』レポート

事前予想記事3本、予習記事2本(実質4本)を投稿したにもかかわらず、諸藩事情がもろもろあったおかげで行けなかったわけだが、ようやっとというわけである(単純に繁忙期を見据えて4月に予定をぶち込んでいただけの話だが)。筆者としても4年ぶりの科…

ピー助!【ブログ開設1周年記念記事】

ありがたいことに(正確には4月4日であるため明日が記念日なわけですがとりあえず)本日をもって当ブログ「古生物・恐竜 妄想雑記」は1周年を迎えることができました。足を運んでいただいた読者の皆様には感謝を申し上げます。そんなわけで1周年記念記事で…

サンファンに逝く者

なんだかんだでもはや3月下旬である。ここ最近繁忙期やらなんやらで全く手を付けられなかった当ブログだが、おそらく山場は過ぎた(希望的観測)はずなので、また少しずつ手を付けていきたいところである。 昨今の恐竜話題と言えば3月現在絶賛開催中の『恐竜…

身内同士の殴り合い

しばらく更新しない間にもう2月である。ネタが切れたとか飽きたとか、そういったネガティブな話ではなく、ちょっとした仕込みをしていたのが真相である。ちょっとした仕込みの内容については年度明けぐらいに公開できるため、楽しみにしていただきたい。 恐…

マイプの復元骨格?~『恐竜博2023』予習記事~

『恐竜博2023』にて出演が確定したマイプ・マクロソラックス(Maip macrothorax)だが、予定ではティラノサウルス(穂別博物館にいるスコッティ)と対比させるように展示されるらしい。もしかするとマイプの復元骨格も展示されるかもしれないということで、…

羽王竜の華麗なる怪

あけましておめでとうございます(大遅刻)。本年も当ブログをよろしくお願いいたします。そんなわけで新年一発目の記事でございます。 ――――――――― 『世界最大 恐竜王国2012』。このワードにときめく方はどれほどいらっしゃるだろうか。2012年に幕張メッセで…