古生物・恐竜 妄想雑記

恐竜好きないち素人による妄想語り置き場

2023年を振り返る

 こんな感じのタイトルが2回目ということで、気が付けば2023年も終焉目前である。情勢は相変わらず、どころではない気もするが、とりあえず古生物学という正直に言ってしまえば大局に何ら影響を与えない学問が許される世界であったことに胸をなでおろすべきなのだろう。

 振り返れば今年の古生物界隈も大いに盛り上がっていた。新属新種の記載は相変わらず好調であったし、古環境や古生物の生活感についての発見も多々報告されていた。イリタトルの再記載をはじめとした既知標本の見直しも同時に進行しているほか、アノマロカリスを含めたラディオドンタの総説が出版されたり(論文はこちら)、翼竜の入門書のような論文(と呼んでいいのかは定かではないが)が出版されたり(論文はこちら)するなど、既存研究の総まとめも行われていた。

 日本国内に限定しても、今年は類まれな古生物学の当たり年だったといえるだろう。3月に開催された『恐竜博2023』と7月に開催された『Dino Science 恐竜科学博』はいずれも大成功に終わったことは記憶に鮮明である。福井県立恐竜博物館はリニューアルオープンして以降大盛況という話が伝わっている。古生物に関する書籍も数多く出版された。長らく命名への期待が高まっていた北谷層産オルニトミムス類と鳥屋城層モササウルスはそれぞれティラノミムス・フクイエンシス、メガプテリギウス・ワカヤマエンシスとして新属記載が行われ、東アジアにおける中生代の一端がまた一つ明らかになった。

 これだけ見ればすべてが大団円と思える本年だが、暗部に目を向ければ懸念事項も堆積中である。化石の売買はあいも変わらず行われているが、違法取引の果ての結末はウビラヤラが見せつけたとおりである(論文撤回による裸名化は昨年2022年のことだが)。8月に始まった国立科学博物館クラウドファンディングは大成功に終わったが、全国各地の博物館の苦境が浮き彫りになった一件としてみれば、今後の状況を楽観視するべきではないだろう。ここ最近では生成AIによる(自称)生物画の粗製濫造も(筆者が観測した狭い範囲ではあるが)界隈で問題視されることになった(ここだけの話、筆者もブログの資料収集中に出会ったことがあるが、オブラートに感想を包んでも見るに堪えない代物だった)。

 

 そんなわけで本ブログも無事に2回目の年越しとなったわけである。気まぐれで始めたブログもなんだかんだで続いており、現時点で閲覧数は800回を超えるというありがたい話となっている。本ブログを始めた裏の目的として、ネット恐竜界隈における筆者自身の立ち位置を確認するというものがあるのだが、まだ目的は未達成ながら少しづつ認知はされてきているのだろうか。ありがたいと同時に粗製濫造はできぬとプレッシャーを感じる運営である。

 さて、まもなく2024年である。来年はどのような発見が待っているのだろうか。新属記載も華々しいが、既知標本の再記載も見てみたい。日本における将来有望株はまだそれなりに残っており、こちらの記載も楽しみである。きっと来年も、古生物学は躍進を続けることだろう。来年も読者の皆様と一緒に古生物学を楽しみ続けていきたい気持ちであるが、その中で少しでも本ブログとお付き合いいただければ幸いである。

 

読者の皆様が良き古生物学ライフを送れることを願って

古生物学のさらなる発展と朗報を願って

2023年 コサメ