古生物・恐竜 妄想雑記

恐竜好きないち素人による妄想語り置き場

獣脚類

やがては覇者へと上り詰め

中生代を指して「恐竜時代」と言い換えるような発言をよく(最近はたまに、だが)聞くが、個人的に言ってしまえば中生代≠恐竜時代という印象だ。(シレサウルス科うんぬんを考慮に入れなければ)恐竜が出現したのは三畳紀後期であり、それからジュラ紀が始ま…

メガロサウルス科よ、さようなら……?

気が付けば2月の半ばである。最近また仕込みを始めたため、ブログの更新が滞りがちになってしまうが、ご了承願いたい。 昨年の5月にスピノサウルス科の伝統的一員であるイリタトルの再記載が行われた。論文の主題はイリタトルの頭骨要素の再記載と機能形態…

マクレーの暴君

当ブログのテーマの一つとして「図鑑にも乗らず、日本語Wikipediaにもないマイナー恐竜をあの手この手で紹介する」というものがあるのだが、それと同時に「メジャー恐竜は取り上げない」というルールを裏でこっそり決めていたりもした。知名度の高いメジャー…

西にすむ鳥もどき

あけましておめでとうございます。本年も『古生物・恐竜 妄想雑記』をよろしくお願いいたします。そんなわけで新年一発目も(やっぱり)獣脚類スタートでございます。 ―――――― ジュラ紀の地層(あるいはジュラ系)と聞いて、あなたが真っ先に思い浮かべるのは…

大型獣脚類のお子様ランチ

12月中に投稿を予定していた記事が2本(メガロサウルス上科についての話と新獣脚類についての話)あったのだが、どう見ても高カロリー記事であることが明らかになっているわけだ。とはいえノルマたるひと月投稿のペースはさずがに落とすわけにもいかずと考…

眠りのヤキュルス

5年間苦楽を共にし続けたPCが故障し、悲しみに満ち溢れた筆者であるが、しかし一個人の悲しみなど待ってくれないのが古生物界隈である。企画ネタを1つ、恐竜紹介ネタを2つ抱えている真っ最中に、以前紹介したナトヴェナトルと同じバルンゴヨット層からアル…

一本爪の系譜

当ブログを開設して約1年半ほどが経過したわけだが、これまで紹介してきた恐竜の多くは各分類群における原始的な種類(あるいは祖先的な特徴を残した種類)である。たぶんにこれは筆者の趣味が可視化された結果と言えよう。実際のところ、原始的な種類という…

砂漠に泳ぐハンター

水棲恐竜の代名詞と言えば、今やスピノサウルスだろう。待ち望まれた追加標本の発見後、2014年に発表された四足歩行スピノ、通称「セレノスピノ」は各所で議論を巻き起こした。そこから8年が過ぎた現在もなお、スピノサウルスの姿は変わり続け、今なお議論は…

暴君に似た者、何を語る

長らく本ブログの更新が途絶えているうちに、古生物界隈はいろいろあったわけだが、日本の恐竜の聖地とでも呼ぶべき福井県から待望のニュースが飛び込んできた。2020年の特別展『福井の恐竜新時代』で初公開され、その後常設展示に回った*1「北谷層産オルニ…

北山からネメグトへ駆け

気が付いたら一か月以上投稿が開いてしまったわけである。そんなこんなで福井県立恐竜博物館はリニューアルオープンを迎え、恐竜博2023は大阪会場が始まっている。恐竜科学博も開催が間近に迫っており、今年の夏も恐竜で盛り上がる夏になりそうである。 恐竜…

アスファルト盆地に生まれた始祖

前回カニャドン・アスファルト層から産出したアスファルトヴェナトルについてグダグダ語っていたわけだが、同層には他にも面白そうな恐竜がいるわけである。前回のブログにて、筆者はこのように書いていた。 アスファルトヴェナトルと同じカニャドン・アスフ…

混迷のテタヌラ、アスファルトの沼

アクロカントサウルスやネオヴェナトル、シンラプトルなどが「アロサウルスの仲間(≒アロサウルス科)」として紹介されていた時代はとうに過ぎ去り、今はそれぞれカルカロドントサウルス科、ネオヴェナトル科、メトリアカントサウルス科(またはシンラプトル…

サンファンに逝く者

なんだかんだでもはや3月下旬である。ここ最近繁忙期やらなんやらで全く手を付けられなかった当ブログだが、おそらく山場は過ぎた(希望的観測)はずなので、また少しずつ手を付けていきたいところである。 昨今の恐竜話題と言えば3月現在絶賛開催中の『恐竜…

マイプの復元骨格?~『恐竜博2023』予習記事~

『恐竜博2023』にて出演が確定したマイプ・マクロソラックス(Maip macrothorax)だが、予定ではティラノサウルス(穂別博物館にいるスコッティ)と対比させるように展示されるらしい。もしかするとマイプの復元骨格も展示されるかもしれないということで、…

羽王竜の華麗なる怪

あけましておめでとうございます(大遅刻)。本年も当ブログをよろしくお願いいたします。そんなわけで新年一発目の記事でございます。 ――――――――― 『世界最大 恐竜王国2012』。このワードにときめく方はどれほどいらっしゃるだろうか。2012年に幕張メッセで…

救われた三頭鷲

いきなり本題に突入して申し訳ないのだが、下の写真に見覚えはないだろうか?見覚えがあるという方、察しの通りの話を展開していく予定であるため、この時点でブラウザバックをしていただいて構わない。 『恐竜博2019』で展示された当時未記載のオヴィラプト…

オーストラリアの……何者?

レエリナサウラやアウストラロヴェナトルなどの恐竜を産出してきたオーストラリア大陸だが、クンバラサウルスのような例外を除いては部分的な化石ばかりが産出していることもまた事実である。先に例に上げたレエリナサウラは頭骨とその他部分化石が産出した…

アパラチアの鳥モドキたち

当ブログではまったくもって解説するチャンスがないが、白亜紀後期の北アメリカを語るうえで欠かせない用語が存在する。「西部内陸海路(Western Interior Seaway)」「ララミディア」、そして今回の話の中心となる「アパラチア」である。 白亜紀は地球温暖…

大型ドロマエオサウルス類、次は何処

以前にこのような記事を書いたわけだが、あれはあくまで前振りである。投稿からだいぶ間ができてしまったが、続きを書いていこう。 ユタラプトルの記載から28年が経過したわけで、この期間にユタラプトル級の大型ドロマエオサウルス類が3属追加で記載され、…

大型ドロマエオサウルス類の顔ぶれ

当ブログが始まって約3ヶ月経つが、恐竜に関する記事はいまだに獣脚類しかないのが実情である。これは無論、筆者の趣味嗜好興味関心が獣脚類に偏っているからである(竜脚類や鳥脚類に興味がないわけではないが、両名とも謎の近寄りがたさを感じるのだ)。特…

南米に住む巨大な龍

しばらく更新をしていない間にもう7月である。この間に書籍3冊を追加購入したことにより、いろいろとやりたいネタは頭の中に降ってわいていたわけである。しかしながら、久しぶりのデカい話を前にして予定は狂うことになった。これは(すでに恐竜好きの方々…

マーストリヒチアンに吹く寒風

メガラプトル類(メガラプトラ)と言えば、日本産恐竜第一号のフクイラプトル(Fukuiraptor kitadaniensis)や、オーストラリアのアウストラロヴェナトル(Australovenator wintonensis)、模式属のメガラプトル(Megaraptor namunhuaiquii)などが所属する…

中川に流れ着いた者

4年ぶりの福井観光旅行(もちろん、感染対策は万全にした。おかげさまで夕食は毎日コンビニのパックご飯&カップ麺であった)から帰って来て早々、こんな話が入ってきた。前月末に記載された某メガラプトラとか、FPDMのレポートとか、ネタはいろいろあるの…

疾走者の素顔

北アフリカ、モロッコのケムケム層といえば、2014年以降に何かと話題を提供し続けているスピノサウルス(Spinosaurus aegyptiacus)の産出層である。名のついた恐竜としてはカルカロドントサウルス(Carcharodontosaurusu saharicus)もケムケム累層産であり、そ…

北谷の狩人、後に刈り取るもの

2022年2月4日、日本古生物学会第171回例会の開催当日のことである。学会員でもない私(例会の存在も知らなかった)はその日もゲームをやりつつボケーっとTwitterのタイムラインを見ていると、何やら恐竜界隈がざわついていた。 「フクイヴェナトルの分類が変…