古生物・恐竜 妄想雑記

恐竜好きないち素人による妄想語り置き場

来たる6月に備えて

 早いもので4月の末である。桜の季節は秒で過ぎ去り、新緑の季節に片足を突っ込みかけている今日この頃、恐竜関連の書籍情報が2週連続で舞い込んできた。6月17日発売の『新・恐竜骨格図集』と6月23日発売の『学研の図鑑LIVE 恐竜 新版』の二つだ。どちらも今から非常に楽しみな書籍である。というわけで今回は、来たる6月に備えて、この2冊についてグダグダと妄想語りをしていこうと思う。

 

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 さて、そもそも『骨格図』とは何か。読んで字のごとく、「生物の骨格を書いた図」であることはお分かりいただけるとは思う。恐竜に関しても、恐竜図鑑や特別展の図録、あるいは論文中にも掲載されており、恐竜界隈においては意識していなくても一度は見たことがある図だ。

 とはいえ恐竜(を含む古生物全体)で骨格図を描くということは並大抵なことではない。何せ相手は「回答が同封されていない立体パズル」ともいうべき絶滅動物たちである。一体分すべての部位が産出するなんて奇跡はほぼ起こらない。多くの場合、関節が外れてバラバラになり、骨そのものも破片となっていることがしばしばだ。河川などの浸食作用によって部位ごとごっそり削り取られていたなんて例もさんざん存在し、こうなってしまえば失われた情報は近縁種を泣く泣く参考にするよりほかにない。化石化の過程で骨の形が変形していることもよく見る話で、左右対称のはずのパーツが派手に長さが変わっていたなんて話もある。こういった化石化の過程で起こるもろもろに対して補正をかけなければ、恐竜の骨格図を描くことはできないのである。

 そんな恐竜の骨格図を専門とするイラストレーターが、『新・恐竜骨格図集』の筆者であるG.Masukawa氏だ。G.Masukawa氏の描いた骨格図はカムイサウルス記載論文やフクイヴェナトルの再記載論文、恐竜博2019の公式図録等に採用されている、日本国内では有数の骨格図イラストレーターである。G.Masukawa氏は同時に「GET AWAY TRIKE!」を運営しており、同ブログでは恐竜骨格図とともに氏による非常に読み応えのある解説文書まで添えられている。一度開けば、たぶん読破するまで引き返すことはできないだろう。気が付いたら一日が終わっていることはほぼ確定である。

(かく言う本ブログの筆者である私も、「GET AWAY TRIKE!」の軽妙な文章に大きな影響を受けた末にこのブログを始めたいきさつが存在する。要するに当ブログは「GET AWAY TRIKE!」の後追いというわけだ)

 そしてG.Masukawa氏による書籍である。書籍の予約サイトに寄れば、恐竜の主要グループ中177種が収録されているそうだ。先ごろ先行公開された情報にはファヤンゴサウルスにケントロサウルス…はいいとしてまさかのミラガイアにドリプトサウルスである。177種に誰が含まれるのか。G.Masukawa氏によるあの軽快な文章がいかに紡がれるのか。今から楽しみでならない。

 

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 そして学研の図鑑である。学研の図鑑で筆者が所有しているのは『NEW WIDE 学研の図鑑 恐竜 増補改訂』が最新にして最後である。この本は2011年1月末に発売されているため、この本からはもう10年以上が経過したわけだ。これ以降も学研は『学研の図鑑 LIVE』シリーズの創刊以降、散発的に恐竜図鑑を製作していたようだが、今回は『学研の図鑑 LIVE』の新版として発行するという流れであるようだ。

 通常、子供向け図鑑の監修者は一人か二人であるところ、当図鑑では総勢8名もの研究者が監修に当たる点も注目どころではあるが、やはり収録種数に目が映ってしまうというものである。学研社の発表では420種を収録しているという話だが、そこに写っている名前はまさかのステゴウロス―――2021年12月に記載されたばかりの新種―――である。こうなれば2021年に界隈を騒がせたウルグベグサウルスやヤマトサウルスも期待できる。(なおフクイヴェナトルの再記載は22年の2月であるため、図鑑書き換えが間に合うかどうかは監修者&編集者次第であろう)

 10年も経てば、研究はどんどんと進んでいく。筆者が持っている恐竜図鑑から、ずいぶんと更新されているに違いない。コンプソグナトゥスと同じページにいたプロケラトサウルスは、今やティラノサウルス上科のもとで独立グループを率いるようになった。エオラプトルは獣脚類から竜脚形類へ分類を変えた。メガラプトル類のように新しくできたグループもあれば、古竜脚類のように消えた分類もある。ブロントサウルスの復活も気になるが、ミンミやトロオドンの死に様も見てみたい。すべては封を切るまでは分からないが、こちらも楽しみな一冊である。

 

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 以上、6月発売予定の2冊についてグダグダと語ってみた。どちらも自信を持ってお勧めできる書籍になりそうだ。当然筆者も、当日購入して読む気満々である。読破した暁には、当ブログで感想等をこれまたグダグダと書き綴っていきたい(当ブログを立ち上げた目的の一つでもある)。まずは近いうちに、近所の書店で予約可能かどうかを問い合わせるところから始めようか。